糖尿病内科

糖尿病とは

糖尿病イメージ

糖尿病とはどんなイメージをお持ちでしょうか?血糖があがることにより、のどが渇いて、多量の尿が出る。何もしていないのに体重が減る、脱力感がひどい。これらの症状は糖尿病の初期症状である可能性があります。また、多くの場合は無症状であることもあります。血糖値が高い状態は血管を傷つけたり、つまりやすくしたり様々な障害をもたらせます。細い血管(毛細血管)は、特に影響が早い段階から出やすく、毛細血管で構成されている網膜、手足、腎臓が障害されると糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症といった3大合併症を引き起こす可能性があります。具体的には眼が見えない、足の壊疽をおこす、尿が出なくなった結果、尿毒症や心不全となり透析を開始するなどです。このような状態にならないためには運動、食事療法を中心とした日常生活に改善に加え、薬物療法やインスリン加療などをおこない血糖変動の少ない血糖が必要です。

糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症イメージ

目の網膜には毛細血管が網目状に張り巡らされています。血糖値が高い状態が続くと毛細血管が詰まるなどして網膜への酸素や栄養分の供給が不足して、糖尿病網膜症を起こします。 初期には自覚症状はほとんど現れませんが、糖尿病を治療しないでいると、5年間で10%、10年間で30%、15年間で50%、20年間で70%に網膜症が発症することが知られ、進行すると失明に至ることもあります。早期発見および早期治療が重要で、糖尿病と診断された場合は眼科での定期的な検査を継続する必要があります。

糖尿病性神経障害

2型糖尿病患者さんの3割は発症から5~10年ほどで末梢神経に障害がおこり始め、糖尿病になっている期間が長いほどその割合は高くなります。重症化すると、足先や手に壊疽(えそ:組織崩壊して腐ること)を起こす原因となります。

糖尿病性腎症

腎臓の糸球体は尿を作る重要な部位であり毛細血管が密集しています。血糖値が高い状態が10~15年間続くと次第に毛細血管が障害され、血液の濾過(ろか)機能が障害され、糖尿病腎症を発症するといわれています。進行すると腎不全を起こし、透析が必要になります。糖尿病腎症は、わが国における維持透析(血液透析・腹膜透析)導入の原因疾患の第1位であり、患者さんの数は年々増加しています。高血糖が続いて細小血管が障害されると、初めは微量アルブミン尿といって尿にごくわずかなタンパク質が漏れ出し(早期腎症)、進行すると次第にタンパク質の量が増えていき、顕性タンパク尿といわれる状態になります(顕性腎症)。さらに進行すると腎不全となり腎臓が働かなくなって透析治療が必要になります。

糖尿病を治療していく本当の理由

以上の様な三大合併症の合併症の予防の他に、糖尿病があると他の病気に罹った場合に治療をすることができないことがあるためです。外科的手術に関しては、傷がつきにくかったり感染しやすくなったりします。このため、術前に血糖コントロールが必要になります。コントロール次第では歯科治療の際の抜歯でさえ出来ないことも御座います。糖尿病自体、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいこともあるのですが、症状自体が重篤になることもあります。心筋梗塞に関しては通常胸の痛みをともなうことが多いのですが糖尿病の方の場合無痛性心筋梗塞といって痛みがなく気が付かないうちに心筋梗塞に罹患していることもございます。このため、通院している方には定期的に心電図検査などおこなっていきます。

HbA1cとそのコントロール目標値

HbA1cは、過去1~2カ月の血糖の平均値を反映する臨床検査値で、病状理解・管理に最も役に立つ糖尿病のコントロール指標です。HbA1cを7.0%未満にコントロールすれば、糖尿病による慢性合併症の発症・進展の可能性は少ないと考えられます。

コントロール目標値

目標 HbA1c(%)
血糖正常化を目指す際の目標 6.0未満
合併症予防のための目標 7.0未満
治療強化が困難な際の目標 8.0未満